褒める事と叱る事の両立が大切。そう考える理由は何ですか?

 

「小さくても可愛くても犬は獣。だから叱る時はきちんと叱って躾けないといけない。」

 

ツイッターで先日このようなつぶやきを見かけました。

昔から言われている真っ当なご意見だと思います。

 

ただ

「きちんと叱って躾けないといけない」

この部分について少し考えていただきたいことがあります。

 

犬は獣です。

では“獣”を脅したり痛めつけたりしたら、どうなるでしょうか。

当然、怖がって逃げたり、警戒心をむき出して攻撃的になったりしますよね。

 

叱るということを、人間側がどのように考えようと、

自分の行いを“悪いこと”だと道徳的に理解することができないワンちゃんたちにとっては、

威圧され脅されているのと変わらないのではないでしょうか。

 

犬は獣と言っておきながら、その一方で叱って躾けようとすることは、そこでワンちゃんたちを擬人化している矛盾を感じます。

 

 

「褒めるだけではダメ。時には厳しく叱らないといけない」

という事をよく耳にするのですが、このように考える根拠は何でしょうか。

ワンちゃんたちを擬人化して、個人の人生観に基づいた教育論に当てはめていること以外に、どのような根拠があるのでしょうか。

私はこの問いかけに対して納得できる意見に出会ったことがありません。

 

人間の教育に関して、叱る事と褒める事の両立が大切と考える方は多いです。

また犬のしつけに関して、人間の教育を強くイメージされる方もとても多いと思います。

だからワンちゃんを叱ることになんの抵抗もないでしょう。

多くの飼い主さんがこのようなイメージを持たれているため、同じように考えるドッグトレーナーはきちんとした根拠を示さなくても、ワンちゃんを叱るという事について、かんたんに飼い主さんから納得を得ることができているのではないでしょうか。

 

 

レッスンでもカウンセリングでも、

私は“叱る”という事を提案しません。

マネージメントすることの難しさを知っているからです。

リスクを知っているからです。

そしてなにより、他に方法があるからです。

 

でも“叱る”ということを頭ごなしに否定するつもりも、人の人生観を否定するつもりもありません。

 

ただ、ワンちゃんを叱るという事についてもう少し考えてもらいたいのです。

私は多くの方があまりにも簡単にワンちゃんたちを叱っていることに強い懸念を抱いています。