犬同士を挨拶させないから慣れないのではなく、挨拶させるから慣れないということ。

世の中には他の犬が苦手という犬がたくさんいます。

他犬を見ると吠えてしまう子、相手に近寄られると逃げる子、怒って噛みつこうとしてしまう子など様々です。

このような犬たちに共通して言えることは、その行動をさせればさせるほど、その行動はどんどん悪化していくという事です。

そのためトレーニングでは、それらの行動を出現させないように相手と適切な距離をとって練習しなければいけません。

 

でも、相手犬と距離をとっていると「挨拶させないから慣れないんだ」というお声を耳にすることがあります。

それは半分正解で、半分間違っています。

「慣れ」とは同じ刺激に繰り返し曝されることで、それに対して反応しなくなっていくことを言います。

(※ここでの慣れとは、馴化もしくはレスポンデント条件づけ消去を指しています。)

だから他犬と「接触」させなければ挨拶できるようにはなりません。それは事実です。

しかし他犬と接触させる過程で好ましくない行動を出現させていると、その好ましくない行動が悪化していきます。

どんどん吠えるようになり、どんどん怒るようになっていきます。

 

上記にある通り、「慣れ」とは同じ刺激に繰り返し曝される事で起こる学習です。

これは目に見えるものや耳に聞こえるものに対しても起こります。

「見慣れる」や「耳が慣れてくる」という現象がそれです。

同じ光景を何度も見ることによって、その見えるものに反応しなくなっていきます。

だからトレーニングでまず目指すところは「他犬を見ても気にしないで素通りできるようになりましょう」ということです。

他犬とあいさつをしたり遊んだりするのはもっと先の話です。

その段階をすっ飛ばして、他犬とあいさつさせようと無理やり近づけるからうまくいかないのですね。むしろ逆効果になるという事を知っておいてください。