犬の吠えを行動の原理から考える

犬の行動には目的があります。

そして行動した結果その目的が達成出来たら、次も同じように行動しようとするようになります。

例えば警戒吠えと呼ばれる行動です。

これは「相手を追い払う」ことを目的に吠えます。

吠えた結果相手を追い払うことができたら、次にその相手に会った時また吠えて追い払おうとするようになります。

何度も「相手を追い払う」ことを経験していくことによって、その吠えは習慣(定着)になっていきます。

このような現象を行動の原理では「負の強化」と言います。

 

負の強化とは

a) 行動の直後に

b) 嫌悪刺激が無くなったり

c) 嫌悪刺激が減る

d) という経験をすると

e) その行動は将来起こりやすくなる

という現象です。

※ここでは分かりやすくするために負の強化子を嫌悪刺激と表現しています。

 

犬の警戒吠えをこの負の強化に基づいて考えると

a) 吠えた直後に

b) 苦手な相手がいなくなったり

c) 苦手な相手が遠ざかっていく

d) という経験をすると

e) その吠えは将来起こりやすくなる

ということになります。

 

 

それではこの負の強化を日常の場面に当てはめてみましょう。

人が苦手で通行人に吠える犬がいます。

a) 吠えた直後に

b) 通行人は歩いて遠ざかっていき

c) そのまま見えなくなる

d) という経験をすると

e) その通行人への吠えは将来起こりやすくなる

という事ですね。

ここで理解したいことは、その通行人は別に吠えられて逃げていったわけではないという事です。

ただ目的地に向かって歩いていっただけなのですが、犬が吠えた直後に通行人がいなくなったとい状況があることで、犬の目線からすると「追い払った」と映って負の強化は成立するのですね。

 

 

同じようなシチュエーションで玄関に来る宅配業者への吠えがあります。

宅配業者が玄関にやってきた時に飼い主の足元で吠えている犬は多いですね。

そのような状況でも

a) 吠えた直後に

b) 宅配業者が離れていき

c) 宅配業者が玄関を開け出ていく

d) という経験をすると

e) その宅配業者への吠えは将来起こりやすくなる

となります。

宅配業者は用事を済ませて帰っていっただけなのに、犬の目線からすると吠えて追い払ったとなるのですね。

 

他にも警戒吠えをしている犬を抱き上げたり、相手が見えないところに移動させたりすることでもこの負の強化は成立してしまいます。その吠えは悪化し定着していってしまいます。

 

 

この負の強化を起こさないためのポイントがあります。

全ての負の強化は、「a) 吠えた直後に」 から始まっていることに気づきましたか?

だから最初から吠えない状況を作ることや、犬が吠える必要性を感じない環境を作ることで、この負の強化を成立させないようにします。

愛犬が吠える状況を把握して、先手に考えて備えることがトレーニングの第一歩になります。

 

 

犬の警戒吠えは、危険なものを追い払うという動物にとってとても大切な「生存」に関わる行動です。

そのためとても悪化しやすく定着しやすい行動でもあります。

そんな行動に対してトレーニングを行うわけですから大変です。

ご自分で何とかしようとせずぜひプロに相談してください。

 

 

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