異物誤食は繰り返し起こります。適切な接し方で愛犬を守りましょう。
犬が異物を飲み込んでしまう事を異物誤食と言います。
石や木片、おもちゃやビニール、指輪や画びょうなど、異物には消化できない物や、胃や腸で詰まってしまう物、消化管を傷つけてしまう物などがあり、この異物誤食はとても危険なトラブルです。
症状は主に嘔吐や下痢などの消化器系症状が見られます。
もしも消化管閉塞を起こすと容態は深刻になりますので、愛犬が異物を飲み込んだ可能性があるなら、様子を見ないですぐに動物病院に連れて行き確認してもらいましょう。
当事者である飼い主さんや、動物病院に勤めている方ならご存知かと思いますが、この異物誤食は繰り返し起こります。
今回はこの異物誤食が繰り返されていく事について書いていきます。
犬はもともと自分の大好きな物(資源)を守る習性があります。
そのため愛犬がおもちゃを抱え込んで遊んでいる時に、それを取り上げようとしたら、激しく抵抗する場合があります。
愛犬がごはんを食べている時に、そのお皿に手を伸ばすと唸る犬もいます。
この「物を守る」という行動は犬にとってはごく自然な行動なのですが、接し方を間違えると事態は深刻になります。
この「物を守る」行動が深刻になるケースは2通りあります。
1つ目は「噛みつく」ということです。
愛犬が物を守って唸っている時に、無理やり取り上げようとしていると、犬は噛みついて飼い主を遠ざけようとするようになります。
所有性攻撃行動と呼ばれる行動ですね。
犬がごはんを守ろうとして噛みつく行動は、食物関連性攻撃行動と言われます。
この攻撃行動が悪化していくと、例えば、犬がごはんを食べている最中に、その部屋に人が入るだけで、その人に向かって突進して行き噛みつくようになります。
とても深刻ですね。
2つ目は「飲み込む」ということです。
愛犬が大好きな物を咥えている時に、それを無理やり取り上げようとすると、取られまいとして飲み込むようになります。
これが異物誤食に繋がっていくのですね。
目を離した隙に愛犬が好ましくない物を咥えていて、それを慌てて取り上げようとしたが間に合わなかった、という事を日頃から繰り返していると、犬は簡単に異物を飲み込むようになってしまうかもしれません。
この「飲み込む」という行動が悪化していくと、例えば、靴下を抱え込んで遊んでいる愛犬に少し近づくだけで、犬は慌てて靴下を飲み込むというようになることがあります。
1つ目と2つ目、どちらのケースにも共通して言えることは、無理やり取り上げようとしてこの「守る行動」は悪化していくという事です。
だから基本的な接し方として、無理やり取り上げないことが大切になります。
でも
もしも愛犬が危険な物を咥えていたら、それは取り上げないといけないですよね。緊急事態ですから仕方がありません。
ただその行為で、愛犬の「守る行動」は悪化し、次から取り上げる事がより難しくなるということを理解しておいてください。
だからこそ最初からそのような状況を作らないことが大切なのです。
部屋を片付けましょう。
ゴミ箱は犬の手の届かない所に置きましょう。
ポスターを張るなら画びょうではなくシールにしましょう。
人間の薬や洗剤などが置いてある所には立ち入れないようにしましょう。
物を出したらしまうようにしましょう。
犬は、それが飲み込むと危険な物だという事は分かりません。
だから飼い主がその危険から愛犬を守る必要があります。
でも飼い主は、四六時中犬を見ておく事なんてできないですよね。
だから部屋を片付けておくことが大切なんです。
もう一つ、この異物誤食に対してできる事があります。
愛犬が容易に咥えている物を放してくれるように日頃から教えておくことです。
これを教えるには、交換っこが効果的です。
犬が何かを抱え込んでいる時に、それを放してもらいたいなら、フードと交換しましょう。
方法はシンプルです。
まず「ちょうだい」と声をかけ、フードを提示します。
犬が抱え込んでいた物を手放し、フードを食べ始めたら、静かにその手放した物を回収しましょう。
フードを見せて交換しているだけだと、フードを見せないと放してくれないコになってしまうかもしれないので、先に「ちょうだい」と声をかけておくといいでしょう。そうすると、声をかけるだけで犬はその咥えている物を放してくれるようになります。
これはとてもシンプルな方法なのですが、日常の中でこの交換っこを繰り返していると、犬は自分から咥えている物を飼い主のもとに持ってきてくれたり、飼い主が近づくだけで、抱え込んでいる物を放してくれるようになったりまします。
犬が手放した物を回収する時、決して犬と取り合いっこをしないでください。
物を回収する時に取り合いっこをしていると、犬はどんどん警戒するようになり、むしろ守る行動は悪化します。
もちろん、すでにこの「守る行動」が悪化している犬には、このままの方法ではうまくいかないでしょう。
交換のためにフードを食べさせていても、犬は横目で手放した物を見張っていると思います。
それに向かって飼い主が手を伸ばそうものなら、すぐに食べるのをやめて、また守ろうとするはずです。
このような場合は、声をかけるタイミングや、フードの提示の仕方、犬が手放した物の回収方法など、その犬の反応を確認しながら調整していく必要があります。
異物誤食は犬の命に関わるトラブルです。
その危険から愛犬を守ることができるのは飼い主です。
愛犬のために気を付けていきたいことですね。
※追記
すぐに飲み込めるような小さいサイズの物を愛犬が咥えている場合、フードを見せてはいけません。犬はフードを食べるために咥えているその小さな物を飲み込むかもしれないからです。交換っこの練習をする時は、犬が飲み込めないサイズの物で練習しましょう。
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