犬の偏食について。フードを食べない愛犬の対応方法を考える。

偏食とは、「好き嫌いが激しく特定のものだけを食べること」を指す言葉です。

好きなものしか食べない状態や、嫌いなものを残す状態など、偏食は日常的にも食事に関する問題で幅広く使われている言葉です。

かくいう私も実はグリンピースが苦手です。食べることはできますが好きではありません。

ピラフに入っているグリンピースやシウマイに乗っているグリンピースなど、正直な所、、、「それ必要?」と思ってしまいます。

これくらいの好き嫌いなら問題はないと思うのですが、例えば栄養状態に影響が出るくらい、生活習慣病に関わってくるくらいの食事の偏りが出てくると、それは問題行動として捉えるべきでしょう。

 

犬の偏食

愛犬がドライフードを食べないで、ジャーキーやビスケットなどのオヤツなら食べるという状態も、偏食と言われます。

犬たちも食物に好みがあり、その中には主食として作られているドライフードにあまり興味を示さないコもいるのですね。

人間に比べて犬たちの食べ物はそれほどバラエティに富んでいるわけではありません。そのため食べさせるものがどうしても限られてきます。

手作り食を与えるという案もありますが、手作りで総合栄養食の基準を満たすのはなかなか難しいことです。

愛犬のごはんに悩む飼い主は、犬が食べる物を中心に与えていくことが多いため、どうしても食事内容に偏りが出てきてしまいます。

このような犬たちがドライフードを少しずつでも食べられるようになるために何ができるでしょうか。

 

この偏食への対応方法を少し考えていきます。

 

食べなければ下げる方法

犬の偏食に対してよく耳にする方法があります。

それは「20分〜30分食べなければごはんを下げる」という方法です。

大手ペットフードメーカーもこの方法を提案しています。

食べ物の好き嫌いが激しい犬の対処方法

ドライフードしか食べ物がない事を理解させることが目的なのですね。

たしかにおなかが空けば食べます。

空腹という状態が食行動に対する動因操作となるでしょう。

その動因操作によって強化子の効果も高まるため、この方法を繰り返せばドライフードを食べるようになるかもしれないのですが、、、、

どうでしょうか、、、

食べない犬は3日間以上食べないこともありますし、犬によっては空腹になると嘔吐をします。

子犬の場合は、ごはんを食べない時間が長いと低血糖症になる危険もあります。

私はこの方法をお勧めできません。

 

 

トッピングをする方法

犬が好んで食べる物をドライフードに加えて食べさせる方法です。

この方法で問題になるのは、そのトッピングだけ食べてしまうという事ですね。

 

例えば、ジャーキーをトッピングとしてドライフードの上に乗せたとしましょう。

犬は当然ジャーキーだけを食べます。

ジャーキーを食べるとおいしさを感じ、ドライフードを食べてもおいしさを感じない。

このような事を経験することで、犬はジャーキーをより食べるようになり、一方でドライフードはどんどん食べなくなっていきます。

でも、飼い主だってそんなことは分かっています。

だからジャーキーだけ食べないようにドライフードの中に混ぜます。

そうすると犬は鼻でドライフードを押し分けてジャーキーだけを食べます。

これでドライフードの中からジャーキーを探して食べる「食べ分けの術」がどんどん上達していくのですね。

 

このようにならないためには、トッピングは犬が食べ分けできないような混ぜ方をする必要があります

例えば、

トッピングに使うものは細かくきざんでみましょう。

ドライフードも少し砕いて細かくし、きざんだトッピングと混ぜます。

これで少し食べ分けが難しくなりますね。

犬用缶詰に入っているスープや、ササミをゆでたスープを使ってドライフードをふやかすのはどうでしょうか。

十分にふやかしたら食べ分けはできませんね。

 

ドライフードとトッピングを一緒に食べさせることで、トッピングの風味とドライフードの風味が結びつきドライフードだけで食べてくれるようになる可能性があります。

 

これを少し具体的に解説します。

 

私たちが日々当たり前のように繰り返している食べるという行動ですが、この食べる行動もそれに随伴する刺激によって変化します。

食べておいしかったものにはどんどん箸を運ぶようになります。逆に食べておいしくなかったものには手を出さなくなっていきますよね。

食べた結果おいしいと感じるその風味が、食行動を強化(維持)する刺激となっているという事です。

今回の場合は、犬がドライフードを食べないという事から、ドライフードの風味が食行動を強化できるだけの効果を持っていないことが分かります。

そこでドライフードの風味とトッピングの風味を一緒に味わうことで、トッピングの風味が一次性強化子、ドライフードの風味が二次性強化子となり、それによってドライフード単独で食行動を強化できるようになることが考えられます。

<用語解説>

強化子とは、行動の直後に出現することでその行動を強化する働きのある刺激。

一次性強化子とは、生物にとって不可欠な刺激で食べ物や水、安全な環境、性的な刺激など。

二次性強化子とは、一次性強化子と対提示されることで、後天的に強化子の働きを持つ刺激。

 

一次性強化子と対提示された刺激が二次性強化子になる現象は古典的条件づけで説明されています。

 

これをさらに詳しく説明するために風味選好条件づけというものを取り上げてみます。

 

風味選好条件づけとは、古典的条件づけを通じて特定の味や匂い(風味)を好きになる現象です。

ラットでの実験では、甘味料を混ぜたある風味の溶液を繰り返し与えられたラットが、甘味料を含んでいなくてもその風味の溶液を好んで摂取するようになりました。(参考:心理学からみた食べる行動)

この風味選好条件づけという現象は、ラットだけではなく人間を対象にした研究でも確認されているため、犬にも同様に起こる可能性は十分にあると私は考えています。

ドライフードとトッピングを一緒に与えることで、トッピングを混ぜなくてもドライフードを好んで食べてくれるようになる可能性があります。

そこで愛犬のごはんにトッピングを使用する時、この条件づけがきちんと起こっているか確認してみましょう。

トッピングの量を毎回きちんと計り、2週間ごとにそのトッピングの量を減らしていきます。それでもドライフードを食べてくれているなら、ドライフードに対して選好が条件づけられていると言えるのではないでしょうか。

 

 

トッピングの量はどれくらい必要??

まず食べて風味を感じなければ条件づけは起こりません。

だからトッピングに必要な量は、犬がそのトッピングと一緒にドライフードを食べられるだけの量です。

それは犬によって異なりますし、実際にあげてみないと分かりません。

場合によってはドライフードよりトッピングの量が多くなるかもしれません。

ドライフードとトッピングの割合を調節しながら与えていきましょう。

 

 

今回の記事はドライフードを食べられるようになることを目的にした内容です。

実際にトッピングを利用することでドライフードを食べる量が増えている犬がいるので、今回紹介させていただきました。

 

もちろん偏食に対する方法はこれだけではありません。

総合栄養食として作られた犬用缶詰もあります。好んで食べてくれるなら缶詰を主食で与えていくのもいいでしょう。(それをトッピングにしてもいいですね)

手作り食で総合栄養食の基準を満たすことができ、そのまま手作り食を続けていきたいという方もいらっしゃるのではないでしょうか。それも1つの付き合い方だと思います。

 

今回の記事が愛犬のごはんに悩む方のヒントになれば幸いです。

 

 

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