愛犬と取り合いっこをしてはいけません。
皆様、明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
今年最初のブログです。
去年の年末にいただいたご相談の中で比較的多かったお悩みについて少し書いていきます。
犬の「物を守る」という行動についてです。
●物を守る行動とは
本来、犬という動物は自分の抱えている物(資源)を守る習性があります。
オモチャや食べ物など、自分の好んで抱えている物を無理やり取られそうになるととても激しく抵抗します。
時に唸ったり噛みつこうとしたりすることもあります。
こういった行動は「ワガママ」や「我が強い」といったその犬個人に問題があるように説明されがちですが、
犬にとっては至って自然な行動だという事を理解しておきましょう。
自分の抱えている物を無理やり取り上げられるという出来事は、犬にとって不自然な事でありそれはとても理不尽に感じる事でしょう。
だから犬が抱えている物を何度も無理やり取り上げていると、犬はどんどん取られないように行動するようになります。
飼い主が近づくと逃げるようになったり身構えて唸るようになったりするのですね。
この物を守る行動は実は様々な状況で関わっています。
例えば、オモチャで遊んでいる時やごはんを食べている時に犬がそれらを守ろうとする行動は簡単にイメージできますよね。
この他にも、例えば食糞する犬とウンチの取り合いっこをする状況や、お散歩中に咥えた物を取り上げる状況などもこの物を守る行動に関わってきます。
インターネットのおもしろ動物動画としてよく取り上げられる「怒る犬にちょっかいを出す」という動画も物を守ろうとする愛犬にちょっかいを出している場面が本当に多いです。
●物を守る行動の悪化
この物を守る行動がどんどん悪化していくと以下のような形になっていきます。
1つ目は、犬は取られないように抱えている物を急いで飲み込むようになります。
誤飲行動となるのですね。
ボタン電池や画鋲など飲み込むと危険なものは私たちの周りにたくさんあります。
それは命に関わることになるかもしれません。
2つ目は、抱えている物を取られないように接近する飼い主を拒絶するようになります。
愛犬が抱えている物に飼い主が手を伸ばしたらアウ!と歯を当ててくることもあれば、
手を伸ばさなくても近くを通るだけで足に噛みついていくることもあります。
愛犬がごはんを食べている最中に人間がその部屋に入るだけで、その人の方に突進して行き噛みつこうとする子もいます。
●行動を悪化させないための接し方
物を守る行動が悪化すると誤飲行動のように命に関わったり、攻撃行動のように共生の障害となったりしてしまいます。
そのような状況に陥らないためにお勧めしたい接し方が「交換っこ」です。
愛犬が物を抱えている時、もしもそれを回収しないといけない物であれば、大好きなフードを見せてください。
そうすると犬はそのフードを食べるために、抱えていた物を手放します。
そこでその手放された物を静かにそっと回収しましょう。
交換するのに必要なものはフードである必要はありません。
大好きなオモチャでもいいでしょう。
大切なことは、それが犬の抱えている物より魅力的であること、
そして、抱えている物を手放してもらうことです。
フードを見せないと抱えている物を手放してくれなくなるのでないかと心配する必要はありませんからね。
フードを見せなくても抱えている物を手放してくれるように教えることはできます。
それがトレーニングです。
この「交換っこ」はその入り口に過ぎないと考えてください。
もちろん、愛犬の物を守る行動が大きく悪化していたら、簡単に交換っこできるわけではありません。
フードを見せても逃げてしまう。
フードを見せても激しく怒る。
このような状況はあります。
でもそれは「この方法は効果がない」という事ではありません。
工夫が必要なだけです。
うまくいかなければもう一工夫、もう二工夫していきましょう。
工夫を繰り返すことで、その子に合った接し方が出来上がります。
接し方を工夫するためにはアイデアが必要です。
それぞれの子に合ったアイデアです。
もしも愛犬の「物を守る」行動で一緒に暮らすことが困難になっているなら、ぜひご相談ください。
ご連絡をお待ちしております。