愛犬のしつけ!アメかムチか

愛犬の困った行動に対して・・・

褒めて教えるのか?

叱って教えるのか?

その両方で教えるのか?

 

これらは、犬のしつけについて考える時、必ず直面するテーマでもあります。

このテーマは、個人の教育観も関わってくるため答えを出すことが難しい問題です。

それぞれが持つ教育観は、個人の人生観や経験則にも基づいているわけですから当然ですよね。

もしもそれに長年の行動研究によって明らかにされてきた“科学的な知見”が加われば、犬のしつけの世界ももっともっと素晴らしいものになるに違いありません。

 

 

さて本題です。

「アメとムチ」という言葉があります。

褒める事と叱る事を両立して教えていく方法を比喩してこのように表現されます。

これはごく一般的な考え方だと思います。

 

心理学(応用行動分析学)を学んでいると、

「アメとムチ」をもじった言葉で「アメとアメなし」という言葉をよく耳にします。

これは、応用行動分析学に基づいた様々な行動修正プログラムがおこなわれる際の、共通する一つのテーマだそうです。

 

応用行動分析学では、繰り返し起こる行動にはすべて目的があると考えます。

部屋の電気のスイッチを押す行動の目的は、部屋を明るくすることでしょう。

愛犬が吠える行動の目的は、食べ物をもらうことかもしれません。

このように、行動にはそれぞれ目的があると考えます。

そして行動したら目的が達成できたという経験があるから、その行動はその状況で毎回繰り返されるということなのですね。

でももしも、行動しても目的が達成されなければ、、行動しても意味がないという事になります。

そうするとその行動は減少していきます。

 

アメに置き換えて考えてみましょう。

もちろんここで言うアメは、食べ物のアメだけを言っているのではありません。

例えば、注目されることが目的として行われている行動のアメは「注目」でしょう。

職場で同僚に挨拶するという行動にとってのアメは、「相手の返事」でしょうし、

当然、挨拶をしても相手から返事が無ければ、その後挨拶することはなくなっていきます。

愛犬が飼い主の膝に手をかける行動のアメは、「飼い主に撫でてもらう」でしょう。

でも手をかけても一向に撫でてもらえなければ、当然手をかけてくれなくなってしまいます。

行動してもアメが出てこない状況があるとその行動は減少していきます。この状況を意図して作ることが「アメなし」という事なのですね。

 

 

日常の中で繰り返し起こる愛犬の問題行動にもそれぞれ目的があります。

 

 

昔からよく取り上げられる例として、犬の飛びつく行動があります。

愛犬が飼い主に飛びつく行動の目的は何でしょうか。

飼い主から声をかけてもらう事や撫でてもらう事、抱っこしてもらう事などが目的として考えられます。

飛びつく行動のアメは、飼い主の声、撫でられる事、抱っこしてもらう事、となるわけです。(アメは一つとは限りません。)

飛びついても、声をかけない、撫でない、抱っこをしない、といった方法を行うことが「アメなし」ということですね。

 

でもこれだけだと、犬は何をしていいのか分かりません。

もしかしたら飛びつく代わりにズボンの裾や洋服の袖を噛んで引っ張るかもしれません。

そこで好ましい行動にはアメを提示します。

ここでの好ましい行動は、座るという行動でしょう。

座っていると飛びつくことはできません。

そこで愛犬が座った時に、声をかけ、撫でる、ということを行います。

このような方法を行っていくことで、愛犬の飛びつく行動はなくなっていき、代わりにどんどん座ってくれるようになっていきます。

 

犬の問題行動が起こる状況で、好ましい行動にはアメを提示し、好ましくない行動に対するアメの提示をやめる、という仕組みを作ることに注目した取り組みが、「アメとアメなし」です。

この考え方は、多くの犬の問題行動に対しても適用されます。

 

犬のしつけの現場では、間違ったことをしたら叱るのは当たり前と考えられがちですが、

この「アメとアメなし」というのもけっこう役に立つ考え方なんですよ。

私がおこなっているドッグトレーニングも、犬のしつけも、この考え方に基づいています。

トレーニングを長年続けているがなかなか効果が出ないという方は、ちょっと考え方を変えて、「アメとアメなし」してみませんか?

 

 

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