愛犬を吠えさせれば吠えさせるほど、その吠えは悪化していきます。
散歩中に愛犬が通行人や他の犬に向かって吠えてしまう問題はよくあります。
犬が警戒して相手を追い払うために吠えるそれは一般的に「警戒吠え」と呼ばれています。
この警戒吠えについて私は「吠えさせれば吠えさせるほどその吠えは悪化していきますよ」とお伝えしています。
この「吠えさせれば吠えさせるほど、その吠えは悪化していく」という事について今回は少し具体的に書いていきます。
私は犬の吠えと向き合う時、学習理論に基づいて考えます。
動物は行動した直後に何かが起こるとその行動を繰り返すようになったり繰り返さなくなったりします。
このような行動と状況変化の関係性には法則があり、心理学の行動研究によって明らかになった知見を学習理論と呼びます。
学習理論の1つに「負の強化」という学習があります。
動物は、行動した直後に不快な刺激が無くなると、その行動を繰り返すようになります。
この負の強化を整理して書くと以下のようになります。
a) 行動の直後に
b) 不快な刺激が無くなる
c) という経験をすると
d) その行動は将来起こりやすくなる
となります。
これを警戒吠えに当てはめて書くとこのようになります。
a) 吠えた直後に
b) 通行人(もしくは他犬)がいなくなる
c) という経験をすると
d) その吠える行動は将来起こりやすくなる
となります。
吠えたら不快な相手がいなくなった(追い払えた)という経験をすると、次に不快な相手に会った時より吠えるようになっている、という事ですね。
「吠えた直後に→相手がいなくなる」という経験によって吠えが悪化する事がポイントです。
だから厳密に言うと吠えた時点ではその吠えは悪化してはいないという事なのですね。
私が言う「吠えさせれば吠えさせるほど、その吠えは悪化していく」という言葉は正確ではないという事になります。
ではなぜ私が「吠えさせれば吠えさせるほど悪化していく」と説明をするのかというと、犬が吠えた時ほとんどの場合が自動的にこの負の強化の流れを愛犬に経験させてしまうからです。
ちょっと日常のお散歩の場面を想像してみてください。
お散歩中に前方から通行人が歩いてきました。
愛犬はその通行人に向かって吠えます。
愛犬が吠え続けているところで、通行人とすれ違います。
愛犬は吠え続け、すれ違った通行人はそのまま歩き続けて遠ざかっていき見えなくなります。
通行人が見えなくなった時点で愛犬の警戒吠えに対して負の強化が成立するのですね。「吠えたら追い払えた」という状況が成立するわけです。
ここで現実的な話として、
愛犬が通行人に向かって吠えている時、通行人に「ちょっと待ってください!」と足を止めることをお願いできますでしょうか?
愛犬が通行人に向かって吠えている時、その場にとどまって通行人にずっと吠え続けさせられるでしょうか?
多くの飼い主は相手に迷惑をかけないように、その場を離れたり抱き上げて犬の視界を遮ったりして愛犬の吠えを止めようとすると思います。
吠えている愛犬の視界から通行人が見えなくなった時点でこの負の強化は成立するため、多くの方がされている現実的な対応でその警戒吠えは悪化してしまうのですね。
もちろん吠える愛犬を叱るのは論外です。犬は警戒して吠えているわけです。そこで怖がらせてさらに警戒心を煽ることになります。
世間体を考えた対応をすると、吠えた時点でどうしても悪化させてしまう対応しかできません。
だから「吠えさせれば吠えさせるほど、その吠えは悪化していく」と私は説明します。
「吠えた直後に→相手がいなくなる」という経験によってその吠えは悪化します。
また現実的に考えると愛犬が吠えたら悪化させるような対応しかできません。
だからこそ愛犬が吠える前に先手の対応が大切になります。
愛犬の吠えでお困りの方はぜひ一緒に取り組んでみませんか?
ご連絡をお待ちしております。