問題行動の原因が病気ならドッグトレーナーはお手上げ?

犬の問題行動の中には、病気などの生物学的問題によって起こるものもあります。

例えば、

脳腫瘍、てんかん、甲状腺機能低下症などによって、犬たちが攻撃的な行動をとることは確認されています。

膀胱炎になると排尿頻度が高まり、トイレを失敗しやすくなります。

 

通常、問題行動を抱えた犬たちへのトレーニングは、その犬が身体的に健康であることが前提でおこなわれます。

もしも愛犬が何かしらの病気を抱えている場合、まずはその病気の治療が優先されます。

 

ドッグトレーナーが、健康診断のために動物病院へ行くことを勧めるケースも少なくはないんですね。

 

もしもその犬の問題行動が、病気によって引き起こされている場合、ドッグトレーナーは何ができるでしょうか。

動物病院に任せて、薬を処方してもらって、一件落着でしょうか。

 

いいえ、違います。

 

問題行動が病気によって引き起こされていたとしても、その行動が出現した以上、そこから学習が起こる可能性があります。

例えば、

膀胱炎で頻尿になっている状態だと、その犬はトイレ以外の場所(絨毯や床)でもおしっこをしてしまいます。

トイレまで間に合わないんですね。

しかし絨毯の上でおしっこをするということを経験することによって、排泄行動と絨毯が結びついてしまう可能性があります。絨毯=トイレという学習が起こるということです。

そうなると膀胱炎が治っても、そのまま絨毯の上でおしっこをし続けてしまうという状態になってしまいます。

そうならないために、ドッグトレーナーはケアをする必要があります。

 

このようなケースもあります。

病気によって体に痛みが生じている場合、その部位を触られると犬は噛みつこうとします。

痛いから触ってほしくないのですね。

もしもそこで日常的に飼い主が噛みつかれるということを繰り返していると、、、

治療によって痛みが引いた後も、飼い主が愛犬の体を触ろうとしたら噛みつく、ということが続いてしまいます。

体を触られる事と、痛みによる不快感が結びついてしまうのです。

そうすると、痛みが無くても、体を触られること自体に不快感を示すようになってしまいます。

 

またドッグトレーナーは犬をトレーニングすることだけが仕事ではありません。

てんかんや脳腫瘍などによって問題行動が引き起こされている場合、

トレーニングによってその問題行動を軽減することは難しいでしょう。

しかし病気の症状として問題行動が出現している以上、

そこに飼い主と愛犬の間で問題が生じているということです。

その問題への対応の仕方を飼い主に伝えることはできます。

 

ドッグトレーナーは病気を治療できません。

薬も処方できません。

だからといって、動物病院に丸投げするのはよくありません。

ドッグトレーナーだからこそ、行動的観点からできる事はたくさんあります。