食糞行動(犬が自分のウンチを食べる行動)について。
前回の記事では、異物誤食に関連する「物を守る」という犬の行動についてご紹介いたしました。
前回の記事です↓
この異物誤食が悪化するのと同じ原理で悪化していく問題行動があります。
それは食糞です。
犬たちは自分のウンチを食べます。
人間からするとちょっと信じられないことですよね。
ただこの食糞行動は、犬以外にも多くの動物にみられる行動でもあります。
カリフォルニア大学の研究者によるアンケート調査では、約3,000頭の犬の飼い主のうち、16%の飼い主が愛犬は頻繁に糞便を食べると回答していることが分かりました。
食糞の理由については、様々な仮説があります。
未消化物が糞に残っており、その糞を“食べ物”とみなして食べる、といった説や、
寄生虫に侵された糞を放置することで起こる寄生虫の増殖・他個体への感染を防ぐため、といった説が支持されています。
参照:Veterinary Medicine and Science
食糞行動の理由については仮説の域を出ないということもあり、なかなか有力な解決策が示されていないのが現状なのですが、
理由はどうあれ、ウンチがその犬にとって「食べなければいけない物」になっていることは明らかです。
犬はもともと自分の大好きな物を守る習性があります。
抱え込んでいるその大好きな物を無理やり取り上げられそうになると、激しく抵抗します。
中には取られまいとしてそれを飲み込むようになる犬もいます。
このようなことを経験している犬は、例えば、靴下をかじって遊んでいる時に飼い主が近づくだけで、慌てて靴下を飲み込むようになり、異物誤食に繋がったりするのですね。
自分のウンチを「食べなければいけない物」と捉えている犬にとっては、そのウンチは“守るべき物”でもあります。
もしも飼い主が食糞させないようにと慌ててウンチを取り上げていると、犬はウンチを守るようになり、急いで食べるようになるかもしれません。
愛犬とウンチを取り合いっこしてはいけません。
ウンチの取り合いっこをすることで、この食糞行動は悪化していき、例えば排便姿勢をとっている最中に、体をねじってウンチを食べようとするようになることもあります。
このような事にならないために、食糞行動を示す犬に対しては、ウンチを片付ける時に「交換っこ」をしておきましょう。
ウンチを片付ける時に「ちょうだい」と声をかけて、フードを提示します。
犬がウンチから離れてフードを食べ始めたら、静かにウンチを回収しましょう。
ポイントは、愛犬がしっかりと排便を終えるまで、フードは提示しないことです。
この「フードを提示しない」とは、フードを取り出す動作や、フードを用意する動作なども含まれます。
フードの提示が早すぎると、犬は排便をやめてしまう事があるからです。
もちろん食糞行動がすでに悪化していると、状況は難しくなります。
飼い主の姿が見えるだけで排便をやめるコもいるかもしれません。
排便が終わった直後に、間髪入れずにウンチを食べようとするコもいるかもしれません。
中には飼い主のいない時にだけ食糞をするコもいるでしょう。
こういった場合は、それぞれの状況に合わせてたくさんの調整が必要になります。
このような場合は是非ご相談ください。
※注意事項
「交換っこ」に関してとても重要な事をお伝えします。
もしも愛犬が排便後にすぐに食糞するのではないのなら、
排便後、1分ほど待ってから、交換っこを行ってください。
本来、排泄行動のような生き物が持つ自然な行動には、内在性強化子が存在していて、外部からの干渉無しでも行動が維持されるように体はできています。
排便という自然な行動に対して、フードを提示するという不自然な結果事象を随伴させると、本来の排泄行動の形が崩れてしまうことがあります。ウンチを小出しにするようになったり、便が溜まってないのにいきむようになったりすることがあります。このような不自然な排泄が身につかないように、トレーニングの実施の際は、慎重に愛犬の行動の変化を確認してください。
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