上下関係という考え方って本当に必要?

現在、ドッグトレーニング業界の第一線で活躍されているドッグトレーナーたちは、上下関係という考え方をしていません。

動物行動学や心理学などへの理解も深まり、権威ある団体が正式に声明を出すなど、この世界はどんどん変わっています。

 

その一方で、テレビの動物番組やしつけ本、インターネットのブログ記事などで、まだまだ上下関係の重要性を謳っている人たちがたくさんいます。

私は、彼らの言葉を耳にする中で、実は彼らも上下関係というものをそこまで重要視していないのではないかと思うようになりました。

 

なぜなら、、

 

根拠のない通説からオオカミの行動を持ち出してきたり、人間のリーダーシップの概念に当てはめようとしたりと、本来はそんなあいまいな論理に基づいて、犬のトレーニングプログラムを組むことなんてできるはずがないからです。

とくに問題行動に対するトレーニングに関しては。

この上下関係という考え方は、犬たちの行動を説明するために都合よく使われているだけで、実際にこの上下関係という論理に基づいてドッグトレーニングを行っている人はあまりいないように感じます。

高いトレーニング技術を持っているトレーナーたちは、そんなことを深く考えなくても犬たちをトレーニングできるわけです。

 

でも、、

高い技術を持つドッグトレーナーたちはそれでよくても、一般の飼い主さんたちは違います。

一般の飼い主さんたちが、「上下関係が大切」という言葉を聞いたら、そこからどのような事を連想するでしょうか。

「愛犬になめられている」

「図に乗っている」

「調子にのっている」

「下に見られている」

というようなイメージを愛犬に持つのではないでしょうか。

そしてそのイメージから導き出される接し方は、叱る、脅かす、叩くといった方法です。

その結果、愛犬との信頼関係はどんどん損なわれていってしまうのです。

 

これは自分の判断で勝手にやった飼い主さんたちが悪いのでしょうか?

いいえ。

上下関係が大切という情報を流している情報発信者の責任です。

 

この上下関係という危険な考え方がなかなか無くならないのは、

ドッグトレーナー自身がそこまで重要視していないため、上下関係というものを安易に深く考えもせず、情報を発信してしまっているところに元凶があるように感じます。