【犬のしつけ】どうして慣れないのでしょう? その1

前回の記事で慣れについて紹介させていただきました。

同じ物を何度も見せることで、見慣れていきます。

同じ音を何度も聞かせることで、耳が慣れていきます。

慣れとはこのような手続きによって生じるものなのですね。

前回の記事はこちら→【犬のしつけ】慣れって何?

 

 

ここで疑問が出てきます。

例えば、散歩中に他の犬を見ると激しく吠える犬がいるとします。

その犬は毎日のお散歩で何度も他の犬を見ているはずです。

でも見慣れて吠えなくなることはなく毎回吠え続けています。

どうして慣れないのでしょう。

 

今回はこの「どうして慣れないのか」について考えていきます。

もちろん、実践の場ではトレーニングがうまくいかない要因はたくさん考えられます。

細かな所まで取り上げていくと内容が膨大になりすべてを書き上げることはできません。

そこで今回は私がこれまでに犬の問題行動と向き合ってきた中で「なかなか慣れない」という事に大きく影響しているであろう事を2つピックアップして紹介させていただきます。

あくまで私の経験則に基づいた内容となることをご理解ください。

 

1つ目:問題行動が継続している

先ほど例に挙げた「他犬に吠える」について、まずはその行動の目的について考えてみましょう。

他の犬に吠えるという行動は、多くの場合『相手を追い払う』ということを目的に行われます。

具体的に言うと「吠えた結果→相手の犬が見えなくなる」という状況を犬が体験することで、犬は『吠えて追い払った』と受け取り、次の機会も吠えて追い払おうと行動するようになっていきます。

これが犬の警戒吠えが悪化していく要因の一つでもあります。

吠えたら苦手な犬を追い払えるわけですから、毎回吠えて追い払おうとするのは当然ですね。

散歩中に何度も他の犬を見ているにもかかわらず一向に慣れないのは、吠えて追い払うという成功体験を繰り返していることに要因があると考えられます。

 

ただ、

好き好んで愛犬に他の犬を追い払わせているような飼い主さんはいないでしょう。

 

でも例えば、あなたと愛犬が散歩している時、前方から散歩中の犬が歩いてくるとします。

あなたの犬は相手の犬を見ると激しく吠えます。

その時あなたの犬は激しく吠えたてながらそのまま歩き続け、相手とすれ違い、その後相手から離れていくという状況になります。そして相手から離れていき、そのまま相手は見えなくなるでしょう。

この時、あなたの犬の目線からすると「吠えたら相手は遠ざかっていき見えなくなった」と映るのですね。『吠えたら追い払えた』という状況が成立するわけです。

もちろん相手は吠えられたから逃げたわけではなく、ただ真っすぐに歩き続けていただけなのですが、あなたの犬は状況から『吠えたら追い払えた』と受け取ってしまいます。

 

 

動物は行動した結果、不快なものが消失すると、その行動を繰り返すようになります。

このような学習をオペラント条件づけ(負の強化)と呼びます。

この学習の影響を受けている行動は繰り返し維持されます。

 

散歩中に他の犬に向かって吠えさせ追い払うことを体験させていると(体験させている限り)、いくら他の犬を見せても慣れることはなく吠え続けてしまいます。

 

 

このあたりで一旦区切らせていただきます。

次回は練習しているのになかなか慣れない2つ目の要因について書いていきます。

 

 

 

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