【犬のしつけ】どうして慣れないのでしょう? その3
これまでの記事を通して他の犬に吠える行動を例に挙げて「どうして慣れないのか」ということについて書いてきました。
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他の犬に慣れてもらうためには他の犬の見せなければいけません。
その一方で、他の犬に吠えさせているとその吠えが優先的に定着していく可能性があります。
それらを踏まえて考えると「吠えさせずに他の犬を見せる」という事が必要になるわけです。
そんなことができるのでしょうか。
もちろん手放しでいきなり自由に他の犬を見せる事なんてできません。
すぐに吠えてしまいますよね。
ここでひとつ提案させていただきたいことは相手の犬との「距離」についてです。
相手の犬が近ければ近いほど、その刺激は大きくなりあなたの犬は吠えやすくなります。
相手の犬が遠ければ遠いほど、刺激は小さくなりあなたの犬は吠えにくくなります。
この「距離」が犬に慣れるための練習ではとても大切になります。
相手の犬と距離が遠ければあなたの犬は吠えないかもしれませんよね。
吠えていなければ「吠えたら追い払える」という体験を愛犬にさせずに済みます。
吠えを定着させずに済むという事です。
相手の犬と距離を取ることでその刺激は小さくなります。
この「刺激が小さい」というところが慣れの練習で重要な意味を持ちます。
慣れの練習では鋭敏化を起こさせないために、小さな刺激から見せていき慣れるに伴って徐々に刺激を大きくしていくという方法が用いられます。
このような方法を系統的脱感作と呼びます。
順序だてて刺激を見せていくことを「系統的」といいます。
何度も刺激を見せることで行動が減っていくことを「脱感作」といいます。
※この脱感作という言葉は馴化と同じ意味を指しています。生物学の世界では馴化という言葉がよく用いられ、医学の世界では脱感作という言葉が用いられることが多いようです。
以上の事から慣れの練習として「吠えさせずに他の犬を見せる」ためには、相手の犬と距離を取ることで実現できるかもしれませんね。
とてもシンプルな事なのですが、そこにきちんと意味があります。
こういったことを一つ一つ丁寧に行っていくことで着実に犬の行動は変わっていきます。
他の犬に吠えるコを連れた飼い主さんで、慣れさせるために吠えさせながら他の犬に近づける方をよく見かけます。
吠えられている犬の飼い主さんも、吠えられても平気だからとそのまま犬同士挨拶をさせようとします。
このような場面では実際にはどのようなことが起こっているのでしょう。
まず相手犬との距離が近くなればなるほど、その刺激は大きくなります。
そのような場面では鋭敏化が起こり、もっと犬を怖がるようになる可能性がありますね。
そして接近する相手犬の刺激は大きくなるので、吠えている犬の吠え方はとても激しくなるでしょう。
あまりにも激しく吠えるので、飼い主さんたちは挨拶させることを断念して別れます。
そこで犬は「これだけ激しく吠えれば追い払える」と学びますわけですね。
残念な事なのですが、このような接し方をしていると犬の吠えはあっという間に悪化していきます。
ここまで練習における「相手との距離」について書いてきました。
ただ、これはトレーニングを組み立てるために考える事のごく一部だと思ってください。
トレーニングを効果的に実行するためにはさらにたくさんの事を考えなければいけません。
犬によって吠えてしまう距離は違うと思います。
最初はとても敏感に吠えてしまいなかなか対応も難しいでしょう。
相手によって吠えたり吠えなかったりすることもありますよね。
犬が多くいる地域でお散歩で他の犬と遭遇することが避けられない場合もあります。
練習を実行するためにはたくさんの事を考えなければいけません。
でもそれが「それぞれの犬に合った方法」に繋がっていきます。
今回はトレーニングについて少し書いてきました。
愛犬のことをたくさん考える必要はありますが一人で抱え込まないでください。一緒に考え具体的な方法を提案することができます。
実際のカウンセリングでは「具体的に何をするのか」というところに焦点を当ててお話していきます。
お散歩中に愛犬が他の犬に吠えるという事で悩んでいらっしゃる飼い主さんはぜひご相談ください。
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